セブ島は美しいビーチやリゾート地として知られ、多くの日本人が留学先として選んでいます。
しかし、他の留学先に比べ日本から近く、日本人が多い地域であるセブ島でも油断はできません。
特に現地特有の病気やケガについて知っておくことは、留学生活を安心して過ごすために欠かせないことです。
本記事では、セブ島で留学する日本人が知っておくべき病気とケガについて、予防方法や対策、実際に起こりやすい事例などを交えて詳しく解説します。
セブ島で注意すべき病気と予防法
セブ島での留学中、用意した海外旅行保険を適用せざるを得ないことが起こることはみなさんの想像以上に多いです。
そして、その8割以上が病気での病院受診です。
セブ島留学中に日本人留学生がかかりやすい病気について、詳しく見てみましょう。
デング熱
デング熱は蚊を媒介するウイルス性の病気で、熱帯地域で広く見られます。
フィリピン・セブ島でも発生することがあり、特に雨季には注意が必要です。デング熱は4~7日間程度の潜伏期間があり、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、皮疹などの症状を引き起こします。
外務省によると、フィリピンでは地方都市を中心に毎年流行し、年間10~20万人の感染者が報告されているそうです。
デング熱の予防方法
蚊避け対策:虫除けスプレーを使用し、室内滞在時も長袖・長ズボンを着用することで蚊に刺されることを防げます。
環境整備:蚊は水場で産卵を行い繁殖します。水場を綺麗にし、蚊の発生を防ぐようにしましょう。
腸チフス、赤痢、A型肝炎
腸チフスはサルモネラ菌によって引き起こされる細菌感染症で、汚染された食物や水を摂取することで感染します。発熱、腹痛、頭痛、食欲不振などの症状が現れます。
腸チフス以外でも、アメーバ赤痢、細菌型赤痢、A型肝炎などの食べ物や飲み物を原因とする病気は留学生に多い危険な病気です。
腸チフス、赤痢、A型肝炎の予防方法
飲食物の管理:生水や衛生状態が不明な食品は避け、加熱された食べ物やボトル入りの水を摂取するようにします。
手洗い:食事前やトイレ後に手をしっかりと洗う習慣を身につけましょう。
食品はすぐに食べる:食べるものの安全が確認されていても、周囲の気温が高く時間が経つことで細菌が増殖してしまう恐れがあります。買ったものは取っておかず、すぐに食べるか、もったいなくても捨てるようにしてください。
予防接種:A型肝炎については予防接種を受けることができます。
マラリア
マラリアは蚊を媒介とする寄生虫感染症で、マラリア原虫を有する蚊に刺されることで感染します。潜伏期間は2週間程度で、発熱、悪寒、発汗、頭痛などの症状が出ます。
セブ島やマニラなどの都市部ではマラリアのリスクは比較的低いですが、農村部や離島などに旅行に出かける場合は特に注意が必要です。
マラリアの予防方法
蚊避け対策:デング熱と同様に、蚊避け対策を徹底しましょう。
予防薬の服用:必要に応じて、医師に相談して予防薬(抗マラリア薬)を服用することも検討しましょう。
狂犬病
フィリピンでは毎年多くの人が狂犬病で亡くなっています。狂犬病は犬、コウモリ、ネズミなどのウイルスを持つ動物に噛まれたりすることで発症し、発症後の死亡率はほぼ100%と言われています。
筆者がセブ島に滞在している間に狂犬病に感染した日本人の方の話は聞きませんでしたが、セブ島には野良犬が多く、近くで目にする機会もあるかと思います。
野良犬には触れないよう、必ず注意しましょう。また動物に噛まれた場合は、直ちに医療機関を受診してください。
狂犬病の予防方法
ワクチンの接種:狂犬病は日本でも予防ワクチンの接種が可能です。フィリピン内をあちこち旅行される方や、外出が増えそうな方は接種を検討してみても良いかもしれません。
野生動物に近づかない:セブ島では犬や猫などの野生動物に出くわす機会があるかと思いますが、むやみに近づかないようにしてください。
ジカ熱
2016年以降、中南米や東南アジアで流行しているジカウイルス感染症が、フィリピン国内でも報告されています。
ジカ熱は先ほど紹介したデング熱と同様に、蚊に刺されることによって感染します。
症状は比較的軽いことが多いですが、妊婦の方が感染すると先天奇形などの原因となることが知られており、症状が軽いからと言って甘くみてはいけない感染症です。
ジカ熱の予防方法
蚊避け対策:虫除けスプレーを使用し、室内滞在時も長袖・長ズボンを着用することで蚊に刺されることを防げます。
環境整備:蚊は水場で産卵を行い繁殖します。水場を綺麗にし、蚊の発生を防ぐようにしましょう。
セブ島で起こりやすいケガとその対策
セブ島では、マリンアクティビティをはじめとした活動でケガをする可能性があり、またインフラの整備が日本より整っていないことから思わぬ事故が起こる可能性があります。
普段ケガなんてしないという方も、十分注意していただきたいところです。
水中の事故
セブ島は美しいビーチやダイビングスポットが多く、水中でのアクティビティが盛んです。留学生も滞在中に海に出かける機会が増えますが、サンゴ礁や海洋生物によるケガ、溺水事故などが発生することがあります。
特に慣れない環境でシュノーケリング中にサンゴ礁に足をぶつけてケガをしたりすることはよくあることですので注意してください。
水中の事故の予防方法
注意深い行動:海に入る際は足元や周囲の状況に注意し、危険な場所には近づかないようにしましょう。
装備の使用:ダイビングやシュノーケリングでは適切な装備を使用し、ガイドの指示に必ず従いましょう。
交通事故
セブ島の交通状況は、日本と比べて混雑し、交通ルールも異なるため、事故のリスクが高いです。特に、バイクやジプニーの利用時には注意が必要です。
また横断歩道になっていても車やバイクが容赦なく通る環境でもあり、初めての方は恐怖に感じるかもしれません。
交通ルールより道路利用者の都合が優先されやすく、バイクや車が無理やり狭いスペースを通って追い抜いたりすることも、交通事故増加の原因になっています。
筆者も乗車中のタクシーが追突されたことがありますが、自分が注意していても思わぬ交通事故に巻き込まれる可能性があります。
交通事故の対策方法
安全な交通手段の選択:タクシーや配車アプリを利用し、なるべく安全性の高い移動手段を選びましょう。
交通ルールの遵守:信号や横断歩道をしっかりと守り、無理な横断は避けるようにしましょう。
海外旅行保険の加入:事故に対してできることが限られているため、事故後の負担を減らす保険についても万全の準備が必要です。
シートベルトの着用:タクシー乗車時はシートベルトを着用しましょう。
日焼けと熱中症
セブ島は熱帯気候であり、強い日差しが特徴です。長時間の屋外活動は、日焼けや熱中症のリスクを伴います。
こちらは、セブ島の年間の気温と降水量のグラフです。
最高気温は通年で30度を超える機構で、特に5月から11月ごろにかけての雨季には湿度も上がり、熱中症のリスクも上がります。
セブ島の気候については、以下の記事も参考にしてみてください。
また、セブ島では降水量が多くても一気に強い雨が降り、すぐに晴れて強い日ざしが降り注ぐことが多いです。
1年を通して日焼けの対策は十分に行うことが大切です。
熱中症と日焼けの予防方法
日焼け止めの使用:高SPFの日焼け止めをこまめに塗り直し、外出時は帽子やサングラスを使用しましょう。
水分補給:こまめに水分を摂り、熱中症を予防しましょう。特にマリンスポーツをしているときは、汗が流れてどれくらい汗をかいているか分からず、また喉の渇きに気づかないことも多いです。飲料ボトルを必ず持参するようにしましょう。
豆知識:セブ島で役立つ健康管理のヒント
せっかく住んでいるなら、セブ島ならではの方法で怪我や病気の予防をしたいところですよね。
現地の知恵を生かして賢く生活する豆知識をいくつか紹介します。
ココナッツで効率よく水分補給
セブ島では、新鮮なココナッツウォーターが手軽に手に入ります。自然な電解質が含まれており、熱中症予防や水分補給に最適です。
ちなみにココナッツシェイクなどに使われる氷は水道水の場合もあるので、水の品質には木を配るようにしましょう。
ハーブとスパイスは風邪予防に効く!
現地の料理には、健康に良いとされるハーブやスパイスが多く使われています。例えばターメリックは抗炎症作用があり、風邪や消化不良の予防に役立ちます。
現地の果物でビタミンを補おう
マンゴーやパパイヤなど、ビタミンが豊富な果物を積極的に摂ることで、免疫力を高めることができます。
セブ島は他にもバナナやパイナップル、カカオ豆など、日本でもおなじみのフルーツの名産地でもあります。
普段は果物をあまり食べない方も、この機会にぜひたくさんのフルーツを試してみましょう。
まとめ
セブ島での留学生活を健康に過ごすためには、現地の病気やケガのリスクを理解し、適切な予防策を講じることが重要です。
事前の準備や現地での情報収集を怠らず、健康管理に努めることで、安全で充実した留学生活を送ることができるでしょう。
また外務省の海外安全ホームページでは、実際にあった事例やフィリピンの現況を踏まえた健康管理についての解説がされています。
渡航前にこうした正しい情報の収集にも努めましょう。